「ランニングを続けたいのに、走るたびに膝の外側がズキッと痛む…」「ストレッチしても良くならないけど、これって走って大丈夫なの?」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、ランニング中の膝の痛みの多くは“ランナー膝”と呼ばれる症状が関係しています。
これは走るフォームや筋肉の使い方のクセ、そして体のバランスの乱れが重なって起こるものです。
早めに原因を見つけて正しいケアをすれば、痛みを軽減しながらまた快適に走れるようになります。
この記事では、ランナー膝の原因と改善法、再発を防ぐためのフォームの見直し方、そして医療機関を受診すべきタイミングについて詳しく解説します。
自分の体と向き合いながら、痛みに悩まされないランニングライフを取り戻しましょう。
ランナー膝とは?ランニングで起こる膝の痛みの正体
ランナー膝はどんな症状?
ランナー膝とは、正式には腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)と呼ばれ、ランナーに多く見られる膝の障害です。
主に膝の外側にズキッとした痛みや違和感を感じるのが特徴で、走る距離を重ねるごとに痛みが増していきます。
初期では「少し気になる程度」だった痛みが、次第に走り始めて数分で痛みが出る・階段を降りるだけで痛むといった症状に悪化することも少なくありません。
特に、マラソンや長距離ランニングなど繰り返し膝を曲げ伸ばしする動作をする人ほど発症しやすい傾向にあります。
どのあたりが痛くなるの?
痛みが出るのは、太ももの外側から膝の外側(膝の少し上あたり)にかけてです。
この部分を走行中に触ると「チクチク」「ピリッ」とした痛みを感じる人もいます。
原因となるのは「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」という、太ももの外側を通って膝の下に付着している長い靭帯です。
走るたびにこの靭帯が膝の骨(大腿骨外側上顆)と擦れ、摩擦によって炎症が起こります。
いわば「走るたびに膝の外側で擦り傷ができている状態」とも言えます。
この摩擦は、筋肉の硬さや走り方、姿勢の崩れによってさらに強まるため、単なるオーバーユースだけでは片づけられません。
放置するとどうなる?
ランナー膝は軽度のうちにケアをすれば回復しやすい症状ですが、我慢して走り続けると慢性化してしまうリスクがあります。
炎症が進行すると、走っていないときでも膝の外側にうずくような痛みを感じたり、階段の上り下りや椅子から立ち上がる動作でも痛むようになったりします。
さらに怖いのは、膝をかばうことで反対側の膝・腰・足首までバランスが崩れることです。
身体はつながって動くため、ひとつの不調を放置すると全体のバランスが乱れ、結果的にケガを繰り返す原因にもなります。
そのため、膝の違和感を感じた段階で、まず「原因を突き止めて正しく対処する」ことが何より大切です。
痛みを我慢して走るのではなく、早めに体を休ませ、回復のサインを見逃さないようにしましょう。
ランナー膝は“走ることをやめろ”という警告ではなく、“体を整えるチャンス”でもあります。
しっかりと原因を理解し、ケアとトレーニングを組み合わせれば、より強くしなやかな身体で走れるようになります。
なぜランニングで膝が痛くなるのか|ランナー膝の主な原因
筋肉の使いすぎと柔軟性の低下
ランナー膝の一番の原因は、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋や腸脛靭帯)の使いすぎです。
ランニングは同じ動作を何千回も繰り返すスポーツ。
筋肉や靭帯が硬くなり、膝の動きをサポートできなくなることで膝の外側に過度な摩擦や負担がかかります。
特に、ストレッチ不足やクールダウンを省略してしまう人は要注意です。
筋肉が硬いまま走ると、腸脛靭帯が骨に引っ張られ、炎症を起こしやすくなります。
また、体の片側ばかりに負担がかかると、左右差が生まれ、痛みが再発しやすくなります。
柔軟性を保つことは、予防と回復の両方に効果的です。
フォームの乱れによる膝への負担
ランニングフォームも、ランナー膝の大きな要因のひとつです。
代表的なのは、重心が後ろに残ったまま走っているフォーム。
この走り方では、着地時に膝が伸び切り、外側に大きな衝撃が加わります。
また、膝が内側に入りやすいフォーム(ニーイン)も要注意です。
太ももの外側の筋肉が過剰に引っ張られ、腸脛靭帯に摩擦が生じやすくなります。
他にも、腰の位置が下がっていたり、上半身のブレが大きいと、膝だけで衝撃を受け止めることになり、痛みを悪化させる原因になります。
正しいフォームは、「頭から足までが一直線」かつ「膝が前に出すぎない」ことがポイントです。
シューズの選び方・路面環境の影響
意外と見落とされがちなのが、シューズと路面の影響です。
ソールがすり減ったシューズで走っていると、クッション性が失われ、衝撃が膝に直撃します。
また、自分の足の形に合っていないシューズを履いていると、着地のバランスが崩れ、膝の外側ばかりに負担が集中します。
特にオーバープロネーション(足が内側に倒れやすい)タイプの人は、腸脛靭帯への負担が大きくなりがちです。
さらに、硬いアスファルトや下り坂の多いコースを繰り返し走ると、摩擦や衝撃が強まり炎症が悪化します。
定期的にシューズの状態をチェックし、路面の環境を変えることも大切です。
「フォーム × 筋肉 × シューズ」の3つが整って初めて、膝の負担は軽減されます。
つまり、ランナー膝は単なる“走りすぎ”ではなく、体の使い方・フォーム・環境の3つのバランスが崩れて起こる複合的な症状です。
根本的な改善には、どこに負担がかかっているのかを見極め、体全体のバランスを整える視点が欠かせません。
👉 膝だけでなく、姿勢の乱れが腰や全身に影響することもあります。詳しくは こちらの記事 をご覧ください。
痛みをやわらげるための改善法3選
アイシングとストレッチで炎症を抑える
ランナー膝の初期段階では、まず炎症を抑えることが最優先です。
走った直後や痛みを感じたときは、膝の外側を10〜15分ほどアイシング(冷却)しましょう。
冷やすことで血流が一時的に抑えられ、炎症や腫れを軽減できます。
ただし、長時間冷やしすぎると血行不良になるため、1回あたり15分を目安に2〜3回繰り返すのが理想です。
また、痛みが落ち着いてきたら太ももの外側・お尻・股関節周りのストレッチを行いましょう。
特に「腸脛靭帯ストレッチ」「大腿筋膜張筋ストレッチ」は効果的です。
ポイントは、痛気持ちいい程度に30秒キープ。
ストレッチを継続することで柔軟性が戻り、膝への摩擦を減らすことができます。
お尻・太ももまわりを鍛えて負担を分散
ランナー膝は、膝の使いすぎではなく“膝に負担が集中してしまう体の使い方”によって起こります。
そのため、痛みが落ち着いてきたらお尻や太ももの筋肉をバランスよく鍛えることが大切です。
具体的には、中臀筋(ちゅうでんきん)や大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を意識して使うトレーニングが効果的です。
例えば、次のような軽いエクササイズから始めてみましょう。
- クラムシェル:横向きに寝て膝を曲げ、上の膝を開閉する(お尻の横を意識)
- ヒップリフト:仰向けに寝て膝を立て、お尻を持ち上げる(お尻と太もも裏を鍛える)
- スクワット(軽め):背筋を伸ばし、膝がつま先より前に出ないようにしゃがむ
これらを週2〜3回・1日10分ほど継続することで、骨盤や股関節が安定し、膝への負担を分散できます。
膝だけでなく、体の「連動性」を整える意識を持つことが、再発防止にもつながります。
日常生活で気をつけたい体の使い方
意外と見落とされがちなのが、日常の動作や姿勢のクセです。
立っているときに片足に体重をかけるクセがある人、座っているときに足を組む人は、知らないうちに左右のバランスが崩れています。
この状態で走ると、筋肉の張り方に差が出て、片側の膝に痛みが集中します。
また、デスクワークが多い人は股関節やお尻の筋肉が硬くなり、走行中に脚がスムーズに動かなくなることも。
まずは普段の姿勢を見直し、次の点を意識してみましょう。
- 長時間座りっぱなしを避け、1時間に1回は立ち上がる
- 立つときは両足に均等に体重をかける
- 階段は膝を前に出しすぎず、太ももを意識して上る
このような意識の積み重ねが、「痛みが出にくい身体の使い方」を自然に作り出します。
トレーニングやストレッチと同じくらい、日常動作の見直しも大切です。
ランナー膝の改善は、“膝を治す”だけでなく“全身の使い方を整える”こと。
アイシング・筋トレ・姿勢改善の3つを組み合わせることで、再発を防ぎながらランニングを続けることができます。
👉 ストレッチの具体的な方法は こちらの記事 で詳しく紹介しています。
再発を防ぐために見直したいランニングフォームと体の使い方
正しいフォームのポイント
ランナー膝を繰り返さないためには、まずフォームの見直しが欠かせません。
痛みの根本原因は、走り方のクセや体の使い方の偏りにあります。
ポイントは、「上半身・骨盤・足の軸」の3つをまっすぐに保つこと。
頭から足までが一直線になるよう意識し、目線は遠くに向けましょう。
猫背になったり、上体が前のめりになると、膝への負担が一気に増します。
また、腕の振りは肘を軽く曲げてリズムよく前後に動かすのが理想です。
上半身の動きが安定すれば、自然と下半身のブレも減り、膝の外側への負担が軽くなります。
ストライドよりもピッチを意識する
「もっと速く走ろう」と思うと、つい歩幅(ストライド)を大きく取りすぎる人が多いです。
しかし、これはランナー膝の悪化を招く原因のひとつ。
着地のたびに膝が伸び切って衝撃をダイレクトに受けてしまうからです。
そのため、スピードよりも“リズム(ピッチ)”を意識しましょう。
1分間に170〜180歩前後を目安に軽快なテンポで走ると、衝撃が分散されて膝の動きが安定します。
また、着地はかかとからではなく、足の中ほど(ミッドフット)で行うのがポイント。
これにより、膝の角度が自然に保たれ、外側へのストレスが軽減されます。
股関節を使って走る感覚を身につけよう
多くのランナーは、脚を前に出すときに太ももの前側(大腿四頭筋)ばかりを使っている傾向があります。
この使い方では、膝に大きな負担がかかる上に、腸脛靭帯の摩擦も強くなります。
そこで意識したいのが、「股関節から脚を動かす」という感覚です。
具体的には、太ももを上げるよりも骨盤から脚を引き出すように動かすイメージを持ちましょう。
こうすることで、自然とお尻(大臀筋)やハムストリングスが働き、膝への負担が分散されます。
お尻がしっかり使えるようになると、体全体が安定し、フォームのブレも減ります。
結果として、「軽く、スムーズに走れる」感覚が得られ、長距離でも疲れにくくなります。
また、日常のトレーニングとして片足立ちの姿勢でバランスを取る練習を取り入れるのも効果的です。
片足で立ちながら骨盤が左右に傾かないよう意識するだけで、体幹と股関節の安定性が高まります。
この安定性こそが、膝を守るための土台になります。
再発を防ぐカギは、「膝ではなく体全体で走る」こと。
フォーム・リズム・股関節の使い方を意識することで、膝の痛みに悩まされず、長く楽しく走り続けることができます。
👉 姿勢の乱れは呼吸やフォームにも関係しています。詳しくは こちら をご覧ください。
これって病院へ行くべき?セルフケアで治らないときの対処法
受診の目安になる症状とは
ランナー膝は軽度であればセルフケアで改善することが多いですが、あるサインが出たら専門家の診察が必要です。
次のような状態が続く場合は、無理をせず医療機関を受診しましょう。
- 数日休んでも膝の痛みが引かない
- 歩いているだけでも膝の外側がズキズキ痛む
- 膝に熱っぽさや腫れがある
- 痛みで階段の上り下りがつらい
- 走るたびに同じ箇所が再発する
これらの症状がある場合、炎症が深部にまで進んでいる可能性があります。
自己判断で我慢して走り続けると、腸脛靭帯だけでなく半月板や軟骨など他の部位にも悪影響を及ぼすことがあります。
痛みを長引かせないためにも、早めに専門家に相談しましょう。
整形外科と接骨院の使い分け
受診先に迷う方も多いですが、症状の段階によって整形外科と接骨院を上手に使い分けるのがポイントです。
まず、強い痛みや腫れがある場合、あるいは骨や靭帯の損傷が疑われる場合は整形外科へ。
レントゲンやMRI検査で炎症や骨の状態を確認してもらい、医学的な診断を受けましょう。
一方で、原因が筋肉やフォームのバランスにある場合や、再発予防を目指す場合には接骨院・整体院が適しています。
体の使い方や姿勢、筋肉のバランスをチェックしながら、根本的な改善を目指すことができます。
どちらか一方に偏るのではなく、「医療 × 施術 × セルフケア」を組み合わせるのが最も効果的です。
施術とセルフケアを組み合わせるメリット
病院で炎症の状態を確認した上で、接骨院などで身体のバランスを整える施術を受けると、回復のスピードが大きく変わります。
特に、筋膜リリース・骨格調整・ストレッチ指導などの施術は、再発防止にもつながります。
施術で体の土台を整え、セルフケアで維持することで、再びランニングを楽しめる身体を作ることができます。
また、施術者のもとでフォームや体の使い方をチェックしてもらうことで、痛みの原因を正確に特定できるのも大きなメリットです。
「痛みが出た→治った→また痛くなった」という繰り返しを防ぐためには、一度プロの目で自分の体を見てもらうことが重要です。
我慢せず、早めに専門家へ相談することが“治すための最短ルート”。
早期の対応ができれば、短期間で回復し、再び痛みのないランニングを楽しむことができます。
まとめ:膝の痛みを理解して快適なランニングを続けよう
原因を知ることで再発を防げる
ランナー膝は、単に「走りすぎたから痛い」というものではありません。
筋肉の硬さ・フォームの乱れ・シューズや環境の影響など、さまざまな要因が重なって起こります。
つまり、痛みの根本原因を理解し、ひとつずつ改善していくことで再発は防げます。
身体のバランスを整え、正しい走り方を身につければ、膝の痛みは確実に軽くなります。
痛みが出たときは「休む」こともトレーニングの一部と考え、焦らず自分の身体を整えましょう。
早めのケアが長く走り続ける秘訣
「少し痛いけど走れるから大丈夫」と我慢することが、一番の遠回りです。
ランナー膝は初期のうちに適切なケアをするほど治りやすい症状です。
アイシングやストレッチなどのセルフケアを続けながら、体の使い方やフォームを少しずつ整えていくことで、長く走れる身体に変わっていきます。
また、痛みが長引くときは迷わず専門家へ相談し、早期に原因を特定して対策を取ることが大切です。
身体の声に耳を傾け、無理せず走りを楽しむことが、結果的にパフォーマンス向上にもつながります。
ランナー膝は「限界のサイン」ではなく、「身体を見直すチャンス」です。
膝の痛みをきっかけに、フォームや姿勢、生活習慣を整えることで、以前より軽やかに走れるようになります。
正しい知識とケアを身につけて、これからも快適なランニングライフを続けていきましょう。
👉 膝や腰の痛みでお悩みの方は、そらまち接骨院 までお気軽にご相談ください。