「整形外科で検査を受けたのに『異常はありません』と言われた。でも、膝の痛みは確かにあるし、なかなか治らない。いったいどうすればいいの?」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、膝の痛みはレントゲンやMRIだけでは判断できない“見えない原因”が潜んでいることがあるのです。
この記事では、整形外科で「異常なし」と診断される理由と、それでも痛みが続く場合に考えられる2つの主な原因について詳しく解説していきます。
Contents
膝が痛いのに「異常なし」と言われる膝の痛みの2つの理由
「異常なし」と診断される人が多い背景とは?
病院で検査を受けて、「異常はありませんね」と言われたにもかかわらず、膝の痛みに悩まされ続けている人は意外と多く存在します。
その背景には、医療機関で主に行われる検査が“骨や関節の異常”に焦点を当てているという点があります。
たとえば整形外科では、レントゲン検査やMRI検査を通して骨折や変形、関節の炎症などを調べます。これらは非常に重要な検査ですが、筋肉や腱、靭帯、関節の使い方のクセなどは、画像だけでは把握しきれないことが多いのです。
つまり、構造的な異常が見つからなければ「異常なし」と判断されやすいというのが現実です。ですが、だからといって「痛みがないはず」とは限りません。
痛みがあるのに検査で何も見つからないワケ
検査で異常が見つからないのに痛みが続く場合、体の使い方や筋肉のバランスの乱れ、日常動作のクセなどが関係している可能性があります。
たとえば以下のようなケースです:
- 太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が硬くなり、膝に引っ張るような負担がかかっている
- 歩くときに片足に体重が偏ってかかってしまい、左右の膝の負担に差が出ている
- デスクワークや立ち仕事など同じ姿勢が長時間続き、関節がスムーズに動かなくなっている
これらはレントゲンやMRIでは映らない“機能的な問題”ですが、痛みの直接的な原因になることが多いのです。
また、精神的なストレスや睡眠の質の低下なども、身体の回復力を下げ、痛みが慢性化する一因になります。
レントゲンやMRIに写らない膝の痛みの2つの正体
痛みの原因は関節ではなく筋肉や靭帯にある?
膝の痛みというと、「軟骨がすり減っているのでは?」「関節が悪いのでは?」と考える人が多いですが、実は痛みの原因が筋肉や靭帯にあるケースも多いのです。
たとえば、太ももの裏側にあるハムストリングスや、膝の外側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)が硬くなっていたり、うまく使えていなかったりすると、膝周辺に痛みや違和感が出てきます。こうした軟部組織(筋肉や靭帯)のトラブルは、レントゲンやMRIでは写りにくいため、見逃されやすいのです。
また、スポーツや日常の動作で繰り返し膝に負担がかかっている場合、炎症や軽い損傷が起こっていても、明確な画像所見としては映らないことがあります。結果的に、「異常は見つかりませんでした」と言われることになります。
姿勢や歩き方のクセが膝に与える影響
もうひとつ見落とされやすいのが、「姿勢」や「歩き方」といった日常動作のクセによる負担や身体の歪みです。
たとえば以下のようなクセがあると、膝に大きなストレスがかかることがあります:
- 立っているときに片足に重心をかけるクセがある
- 歩くときに足先が外側や内側に向きやすい
- 座るときに足を組むことが多い
- 猫背や反り腰など、体のバランスが崩れている
これらのクセがあると、膝の関節に対して正しくない力のかかり方をし続けることになり、関節そのものに異常がなくても痛みが出るということが起こります。
日常のちょっとした動き方が積み重なって、膝のトラブルにつながっている可能性があるのです。
整形外科と接骨院の違いと使い分け3つの視点
整形外科でできること・できないこと
整形外科では、骨や関節の異常を検査・診断し、必要に応じて薬や注射、手術といった医療行為を行うことができます。
レントゲンやMRIなどの画像診断をもとに、骨折、関節の変形、軟骨のすり減りといった「構造的な問題」を見つけ出すのが得意分野です。
ただし、次のような点には注意が必要です:
- 筋肉や靭帯の機能的な不調は見逃されやすい
- 電気治療や湿布など、対症療法が中心になることもある
- 痛みの根本原因まで深く掘り下げることは少ない
そのため、「検査では異常なし」と言われたけれど痛みが続くという場合には、整形外科だけで完結しないケースもあります。
接骨院や整体ではどんなことができるのか?
一方、接骨院や整体では、筋肉・関節の動きや体のバランスを見ながら、痛みの原因を探っていくアプローチをとります。
たとえば:
- 姿勢や歩き方のクセを見て、負担のかかり方をチェックする
- 筋肉の硬さや動きの悪さを手技で整えていく
- 骨格や関節の動きを整えることで、負担を減らす
保険が使える症状と使えないものの違いはありますが、「検査で異常がないのに痛みがある」という場合には、接骨院のような現場での**“動きの中から原因を探る”**アプローチが有効なことも多いです。
どちらを選べばいい?見極めるポイント
では、整形外科と接骨院のどちらを受診すればいいのか。以下のように使い分けるとよいでしょう:
- 急なケガ・骨折の疑いがあるとき → まずは整形外科で検査を受ける
- 検査で異常がないが、痛みや不調が続くとき → 接骨院で機能面のチェックをしてもらう
- 姿勢のゆがみや体のクセを整えたいとき → 整体や施術系のケアも選択肢に
また、整形外科で「異常なし」と言われたあと、接骨院で具体的なケアを受けると両方のメリットを活かせます。
大切なのは、検査の結果にかかわらず、自分の身体の声に耳を傾けることです。
膝の痛みに自分でできる対処法とは?
自宅でできる簡単な膝チェック方法
膝の痛みがあるとき、「何が原因か分からないまま我慢している」という方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、自宅でできる簡単なチェックを通して、筋肉の硬さや左右差、関節の動きを確認してみましょう。
以下のようなセルフチェックをおすすめします:
- 左右の膝の動きを比べる:しゃがんだり伸ばしたりするときに違いを感じるか?
- 太ももやふくらはぎを触ってみる:左右で硬さが違う部分があるか?
- 膝のお皿を動かしてみる:ぐるぐる軽く回せるか?痛みや引っかかりはないか?
ちょっとした違和感や動きの悪さが、膝への負担に繋がっていることもあるため、**「違和感がある側を無意識にかばっている」**というサインにもなります。
日常で気をつけたい動きや姿勢とは?
膝の痛みを悪化させないためには、普段の姿勢や動作にも注意を払うことが大切です。
たとえば、次のような動きやクセは膝への負担を増やします:
- 長時間同じ姿勢(特に立ちっぱなし・座りっぱなし)で過ごす
- 椅子に座るときに足を組むクセ
- 立ち姿勢で片足に体重をかけてしまう
- 靴底のすり減りが左右で偏っている(歩き方の偏りがあるサイン)
これらは小さな習慣のように見えますが、毎日続けることで膝にじわじわと負担がかかる要因になります。
まず「左右均等に体重をかける」「猫背にならないよう意識する」といったことから始めてみましょう。
試してほしい!膝周りのケア方法3選
痛みが強くない段階であれば、以下のような簡単なケア方法を日常に取り入れてみてください:
- 太ももを伸ばすストレッチ
→ 膝への負担を減らすため、前もも(大腿四頭筋)をゆっくり伸ばしましょう。
イスに座ったままでもOKです。 - 膝まわりを温める
→ 血流を良くして回復を促します。入浴時や、温かいタオルを使うのがおすすめ。 - 正しい姿勢でのウォーキング
→ 痛みがない範囲で、姿勢を意識しながら歩くことで筋肉のバランスを整えます。
地面をしっかり蹴るような意識を持つと、膝以外の筋肉も使えるようになります。
無理をしない範囲で「できることから始める」ことが、膝の痛みと上手につきあう第一歩です。
痛みを根本から改善するために必要なこと
再発を防ぐために知っておきたい体の使い方
膝の痛みをその場しのぎで対処するのではなく、根本から改善したいと考えている方に必要なのは「体の使い方」への理解です。
膝は、股関節や足首と連動して動いています。つまり、膝だけに注目するのではなく、**「体全体の動き方」や「力のかけ方」**を見直すことが大切です。
たとえば、次のような意識を持つことがポイントです:
- 歩くときは、足の裏全体で着地し、かかとからつま先へ体重移動する
- 椅子から立ち上がるときは、太ももに力を入れすぎず、お尻を使う
- 物を持ち上げるときは、膝ではなく股関節を曲げて腰を落とす
こうした「正しい体の使い方」は、一度身につければ膝に負担がかかりにくくなり、痛みの再発を防ぐ力になります。
病院や施術所以外でできる予防習慣とは?
膝の状態を良く保つには、医療機関でのケアに加えて、日常生活の中でできる小さな予防習慣が非常に重要です。
以下のような取り組みは、誰でも今日から始めることができます:
- 毎日5分の軽いストレッチを続ける
→ 特に太ももやふくらはぎ、股関節周りをゆるめると膝が動きやすくなります。 - 座りっぱなしにならないよう、1時間に1回立って動く
→ 関節の動きを保ち、血流も良くなります。 - 膝に合った靴を選ぶ
→ 靴のクッション性やフィット感は、膝の衝撃吸収に大きく影響します。 - 自分の姿勢をスマホのカメラなどでチェックする
→ 無意識のクセに気づくだけで改善のヒントが得られます。
施術やトレーニングに頼るだけでなく、自分の体を知り、日々の中でケアする姿勢が、膝の健康には欠かせません。
まとめ:原因が分からない膝の痛みに向き合うために
「検査では異常がない」と言われたのに、膝の痛みが続いている。
―そんなときこそ大切なのは、“異常がない=問題がない”とは限らないという視点を持つことです。
膝の痛みの原因は、筋肉や靭帯の使い方、姿勢のクセ、日常の動きの偏りなど、画像では映らない部分に隠れていることがあります。整形外科だけで解決しないと感じたときには、接骨院や整体のように動きと姿勢からアプローチする視点も加えてみてください。
また、セルフチェックや日常での予防・ケアも、膝の健康を守るうえで非常に効果的です。
「痛みを自分で理解し、正しく向き合う姿勢」が、将来的な再発防止にもつながっていきます。
膝の痛みがなかなか改善せず不安に感じている方も、あきらめる必要はありません。自分に合った方法で少しずつケアを続けていけば、きっと体は応えてくれます。
